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筋(すじ)の良し悪し

 こんばんは、チェスです。

 今大いに楽しんで読んでいる、池波正太郎先生の「鬼平犯科帳」シリーズの中には、主人公鬼平・長谷川平蔵の長男=長谷川辰蔵が登場します。
 長谷川平蔵は、小説でもテレビドラマでも、さすがに「火付盗賊改方」の長官として堂々の主役を張っていますから、剣術の方も相当に強い。まぁ斬り合いになっても大抵の相手では負ける心配は無いのですが、息子の辰蔵の方はどうか。
 主人公の長谷川平蔵さんは、清水門外の役宅=今で言うところの公務員官舎というところでしょうか=に住んでいるという設定なのですが、元々長谷川家の当主でもあるわけですから私邸もあり、そちらの私邸を預かっているのが長男の辰蔵さんなのです。

 で、こういう人を父に持つからには、長男の辰蔵も剣術の道場に通っていて、剣術を習っているのですが、剣術の達人たる平蔵さんからみると、長男の辰蔵さんの剣術の評価は芳しくないのです。小説の中でも「筋が悪い」と言われてしまっています。
 現在でも、それほど言われるわけではないですが、この「筋が良い」とか「筋が悪い」とかいう言い方は、たまに聞かれることがあります。では、そもそもこの良いとか悪いとかの「筋」はなんの事なんでしょうか。

 調べてみると、この「筋」は「血筋」のことの様ですね。

 「血筋」となると、サラブレッドの「血統」だということになる。だとすると、自分(長谷川平蔵)は師匠から免許を受けた剣術を極めた達人と自負しているから、その息子なら血統が悪いわけはないですよね。
 なのに、剣術の腕を見て、どうして「筋が悪い」と言ってしまうのか。これは矛盾とは言わないまでも表現としておかしくないか。
 これは結局、自分(長谷川平蔵)の剣術の技が、息子に伝わっていない、ということの表現の様なのですね。
 人間、どんなことでも努力すれば如何様にもなる、と頑張るのは大切だと思いますが、全ての努力が報われるとも限らない訳で、そこには自ずと先天的な素質、素養というのが関係してきます。辰蔵の剣術について言えば、父の平蔵さんは「辰蔵はどうも剣術の素質があまりなかった様だ」という評価の表現として「筋が悪い」と言っているのだと思います。剣術というのは当然運動神経が関係するでしょうから、そうしたことは父からある程度息子へ遺伝するにしても、息子の遺伝子の半分は母親から受け継ぎますから、仮に辰蔵さんが父親同様に剣術の修行に励んでも、同じ様な達人になれるとは限らない訳です。

 ただ、息子の辰蔵さんは他の意味で父親の血を受け継いでいるようで、面白いキャラクターにはなっています。そのあたりは小説を読んで下さいとしか言えないですが。

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