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『黒い画集』

 こんばんは、チェスです。

 昨日までの雨は上がった東京ですが、そのかわりに前線の通過によるかなり強い風がほぼ終日吹き荒れていました。「春の嵐」という奴ですかね。

 ここ1週間ほど、通勤の車内の時間を使って、カミさんから借りた文庫本を読んでいました。

「黒い画集」松本清張さんの短編集です。

 何故に今頃、清張さんなのか、と小生に問われても困るのですが。カミさんが買った本だからなのですね。

 松本清張さんは、「社会派推理小説」というジャンルを確立したと言われる日本ミステリー界の巨匠ですね。「ゼロの焦点」「点と線」などの長編を思い浮かべる方も多いと思います。
 その清張さんの短編集は、どんな感じなのか。
 短編集ではあっても、映画化されている作品もあるあたり、流石は清張先生だと思います。
 この短編集の最初に収められている「遭難」という作品も、短編ながら映画化されています。

 実に巧妙なトリックを重ねに重ねて、山での遭難に見せかける完全犯罪を目論む犯人。

 山に関してはまるっきり素人の小生が読んでも、「なんぼなんでもこのトリックを重ねるのは無理筋すぎるだろう」と感じるほど、不確定要素が多すぎる構成の犯罪です。
 でも、本来清張先生が描きたかったのは、犯人の深層心理にある殺人に至る動機なのではないか、と思います。普通の人なら殺人までは思い至らないだろうに、人を、これだけの手間をかけて殺さなければならないものだろうか、と思うようなどす黒い動機です。

 他のいくつかの短編でも、犯人の動機の描き方が本当に暗い。最後に収められている「坂道の家」など、ミステリーというよりはごく普通の市井の小市民が、ふとしたことからそれまでの生活を崩壊させていく過程を、これでもか、という重層的構成で描いていて、読んでいて次第に辛くなってしまいます。
 松本清張先生、人間の心理の描写力も凄いです。

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