「カンバセイション・ピース」保坂和志
こんばんは、チェスです。
小生にしてはかなりゆっくり、約5ヵ月もかかって読了いたしました。
「カンバセイション・ピース」保坂和志 著(新潮文庫)
この方は、小生より6つばかり年上の作家で、「この人の閾」という作品で芥川賞を受賞(1995年)しています。この人がそうだから、というステレオタイプな書き方はまずいのでしょうが、感じとしては芥川賞作家というのは寡作で、その代わりに質の高い作品を世に問うという創作姿勢の方が多いように思います。
実は小生、直木賞作家に比べると、芥川賞作家というのは少々苦手で、かなり評判の良い作品であっても書店でパラパラ見るのが精一杯、じっくり読む事はあまりありません。
それでも読んでみようかな、と思ったのは、今年の春に鳥越に残してきた、茶トラ猫の「コバン」がついに死んでしまい、愛猫家の作家として有名なこの人の作品を兎に角読んでみよう、と、よくわからない動機があったからです。
で、この作品。
確かに、主人公(=著者と思われる)の飼っている3匹の猫たちの日常も、活き活きと描写されてはいますけれども、作品のテーマというのか、「何を表現したいのか」がすんなり入ってこなくて、実は一度読むのを投げ出してしまいました。
簡単に言えば、飽きてしまったということかな。物語が、じれったい程に丁寧に語られていて、夢中になって読み進むという感じにならないのです。
ではありますが、8月の終わり頃から再び読み始め、本日目出度く読了しました。
本筋ではなくて、サイドストーリーみたいなのですが、横浜ベイスターズのファンの主人公(=著者と思われる)が、横浜球場にベイスターズの応援をしにいく所が2回でてきて、主人公の野球観戦仲間の2人が個性的で面白いし、野球観戦の雰囲気もビシビシと伝わってきて、大変楽しい。
そこんとこは非常に記憶に残っています。
ただ、どうなのかなぁ、万人に「面白いから読んでみな!」とは言い難いです。すみません。
最近のコメント