リュックサック2つ並ぶ
こんばんは、チェスです。
もうそろそろ、いい加減で止めないといけないのですが、一部読者のご期待にお応えすべく、また書いてしまうのです。そうです。超短編小説風です。
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彼女がマラソン大会にデビューする日がやってきた。
それは見事に晴れ渡った、秋晴れの日曜日。
最寄り駅の改札口は、きっと大会参加者の待ち合わせで混雑していると踏んで、駅の外の交番前で我々は待ち合わせ。
ボクが着いた時、交番の中の時計はまだその時間に10分早かった。
「待った?~、駅の改札は凄い人!」
彼女がやってきたのはその時間の5分前。未だ5分前だよ。
のんびり歩いて大会会場に着くと、中学校のブラスバンドが見事な演奏を披露している。
「うわぁ、お祭りだ!」
そうそう、マラソン大会の会場、このお祭り気分を味わってもらえば、もう半分は目的達成。
さて型どおり、受付、会場のあちこちをブラブラ、早めにトイレを済ませて着替え、ストレッチ、ウォーミングアップと準備を滞りなく進めているうちに、何時の間にか号砲が鳴ってハーフマラソンはスタートしていた。
「今日のお昼、何食べる?」
未だ、レースはこれからなんですけど。
少し時間をおいて、ボクの走る10kmレースのスタート時間が7分前。今回はボクは、あの『45分~』のプラカードの後ろに、もうそろそろ並んでいるね。
「あ、あのプラカードは、そういう意味だったの!」
そうなんです。自分の走力に合わせてスタートしないと、全体が混乱するからね。
ボクの10分後にスタートする彼女の5kmレースのために、デビュー戦だから決して無理はしないようにと、言わずもがなのことを言って、スターティングポジションに並ぶ。
前方でピストルが鳴った様な気がして、順番にそろそろ、という感じで10kmレースがスタートしていく。
スタート/ゴールアーチの脇で、小柄な彼女が伸び上がって手を振ったのがちらりと見えた。で、右手を上げた。
こいつはマズいんじゃないか、と思った。いつものレースなら前半マイペースを守って、折り返してからペースをじわじわと上げて、バテた人たちを抜いていくのがボクのレース作戦。
でも、彼女の振られていた手を見つけてしまったのは、いかにもマズいぞ。
案の定というべきか、今日のペースは前半から少しばかり、とばし気味。これはマズいぞ。
それでも、後半もそれなりにペースを維持して頑張った。『KANTO MASTERS』などと書かれたTシャツの年配の方が前を走っている。何とか、ギリギリになってもあの人は交わしたい。そう思ったけど、前半のツケは残り2kmでやってきた。息が上がり、交わすべき目標は無情にも小さくなっていく。
5kmのレースを終えていた彼女の所へもどった。ただいま~、暑かったねぇ。
「お疲れ様~信じられない暑さ!」
まぁ、怪我もせず、レースを楽しんでくれればそれでいいや。
駅近くに戻って、和食系のファミレスでお昼ご飯。
彼女が座っているシートの背もたれの上のスペースに、2つリュックサックが並んでいた。
彼女が日常使いしている奴には「COLEMAN」のロゴが入っている。コールマンか、懐かしい。ランタンやガスコンロや、そういった山用品のブランドだよな~、高校生の時にお世話になった。一方ボクのはアメ横で現品処分1000円で買った奴。
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どこがポイントなのか、わからないですねぇ。
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コメント
今回は、レース中の描写を上手く出しながら、彼女とボクの何気ない会話が、映えていると思います。ブランド品の彼女のリュックとバーゲン品のボクのリュック。見た目は違っても、2つ並ぶことで、距離感をずっと近くしている感じも魅力的に表現されていると思います。続きが読みたくなる・・・そんな終わり方が憎いですね。
一つ、注文をつけるなら、「リュックサックが2つ」で止めた方が、よりロマンティックな情景になると思います。次回も楽しみにしています。
投稿: AA | 2007.10.22 00:00
>AAさん
毎度ご贔屓にありがとうございます。
また、貴重なご意見を賜り、感謝いたします。
文章修行もこれでなかなか大変です。
投稿: チェス | 2007.10.22 22:55