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2005.11.10

おつかれさま!はるか

 こんばんは、チェスです。

 JAXAの小惑星探査機「はやぶさ」が、現在小惑星「イトカワ」を探査中で、4日には着陸のリハーサルとターゲットマーカーの投下、ミネルバの投下が行われる筈でしたが、異常信号が検知されたため、降下は中止となり、現在は以前のポジションに戻っているみたいです。

 その一方で、現在のJAXAの宇宙科学研究本部の主力ロケットであるM(ミュー)-V(ファイブ)ロケットの1号機を使って打ち上げられた人工衛星「はるか」が、その運用を終了する、という記事がJAXA宇宙科学研究本部のサイトに載っておりました。

 「はるか」は、宇宙に持っていった電波望遠鏡です。
 電波望遠鏡を宇宙へ持っていくと、何故いいことがあるのか?それは、「電波干渉計」という使い方ができるようになるからです。
 可視光でも赤外線でも同じですが、望遠鏡の性能を決める最も大きなファクターは「主鏡(レンズ)の口径の大きさ」です。当然大きければ大きいほど、性能が良くなります。しかし、大きければ重くなりますし、精度良く鏡面を作ることは大変な工作精度が要求されます。国立天文台の「すばる」望遠鏡の主鏡は、様々な工夫が施されています。
 電波望遠鏡についても同じで、遠くの微弱な電波を集めるには、大きなおわん形状のアンテナ(パラボラアンテナ)は、大きいほど有利です。
 世界最大の電波望遠鏡は、プエルトリコにあるアレシボ天文台の電波望遠鏡で、口径305m。でも、この望遠鏡はほんの僅かしか向きを変えることができません。

 そこで考え出されたのが、「電波干渉計」という仕組みです。これは、小さな電波望遠鏡をある間隔で複数並べて、あたかも一つの大きな電波望遠鏡があるかの様に観測する機械です。一般には、天文台に広大な敷地が必要とされるため、日本で大きな電波干渉計を実現するのは難しいです。
 しかし、更なる電波干渉計の仕組みが考え出されました。

 遠く離れた2箇所の別々の電波望遠鏡を使って、同時に一つの天体からの電波を観測するようにすれば、これは2箇所の電波望遠鏡の距離を「基線」として使えるため、それだけ分解能が高い電波干渉計を実現できたことになるのです。極端なことを言えば、最大で地球の直径分の長さの基線の電波干渉計~VLBI=超長基線電波干渉計~というものが実現できる理屈です。

 しかし、電波天文学者は欲張りです。それにしたって、地球の直径以上の電波干渉計は出来ないじゃないか。
 ならば、電波望遠鏡を宇宙空間へ持って行ってしまえばいい。そうすれば、地球上の電波望遠鏡と組んで、ものすごく長い基線の電波干渉計ができるぞ、と。

 こうして実現したのが、M-Vロケット1号機で打ち上げられた「はるか」による、スペースVLBIです。「はるか」は、設計寿命の年数を遥かに越えて、世界中の電波望遠鏡と組んでスペースVLBIを実現し、電波天文学の地平を広げました。
 「はるか」は良く頑張りました。お疲れ様でした。

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