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高杉 良さん

 こんばんは、チェスです。

 ここ数日、高杉 良さんのハードカバー「混沌 新金融腐食列島」(上・下)を読んでおりました。

 高杉 良さんの最近の代表作であり、映画化もされた「金融腐食列島」シリーズの4作目にあたります。2作目だけは「金融腐食列島」のシリーズタイトルはついているものの、モデルと思われる銀行は異なりますが、1作目、3作目、そしてこの最新作まで、モデルと思われる銀行と主人公は同じであり、最初から読んでいるとお馴染みとなった主人公のキャラクターが良く掘り下げられていて、小説として非常に楽しめます。

 勿論、小職の様な製造業のサラリーマンにとっては別世界の、銀行という金融業の一面を、小説の形を取っているにせよ、窺うことができるのは、それだけで興味深いと言えます。

 高杉さんの小説は、これまで結構たくさん読みましたが、この方は経済紙の記者であった、という職歴から、とにかく非常に綿密に取材をされていることが特徴です。綿密な取材を元に書かれている小説ですから、その殆どの作品に、実在するモデルがいるわけです。

 また、経済界において実際に発生した大イヴェント~上記の一連のシリーズにおいては銀行界の合併による再編成~が下敷きとなっているため、ストーリーを把握し易く、実際の時系列を自分の記憶と照らし合わせつつ読めるのも興味深いところです。

 高杉さんの小説の、もう一つの特徴は、会社の中の「ミドル」に焦点を当てて、主人公にしている作品が多い、ということでしょうか。

 勿論、この人あってのこの会社の現在、という、例えば中興の祖、とか偉大な創業者などが主人公になっている小説も多いのですが、小職としては、本来語られることなどない、会社のミドルが主人公になっている作品の方に、惹かれるものがあります。
 小職自身、会社においてはそろそろ中間管理職、中堅所というポジションになって、役員・本部長という偉い人の顔色を窺いつつ、若手の元気の良い社員の言葉にも耳を傾けなければいけないという状況であって、高杉さんの小説にしばしば登場する中間管理職の心象風景などには、深く頷くところがあるわけです。
 現在はいささかスタンスが変わってきたというか、「会社命」という熱血社員が少なくなった様に思いますが、昭和の時代には、それこそ家庭を顧みる暇もなく、会社における自分の仕事にどっぷり浸かっているモーレツな中間管理職が、会社を、更には日本を支えてきたのだ、と、高杉作品を読むと思いますね。

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受信: 2005.05.14 23:01

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