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世界がまとまるのは大変だ

 こんばんは、チェスです。

 昨日のニュースでしたか、フランスの国民投票で、EUの憲法が否決され、この結果フランスの政府としてはEUの主要な一員でありながら、EUの憲法をフランスとしては批准できなくなってしまった、という報道がありました。
 もっとも完全に批准への道が閉ざされた訳ではなく、憲法の一部を修正することによって、「それならばいいよ」という一部修正による道が残っているらしいのですが、フランス政府にとって打撃であったのは確かでしょう。

 第1次世界大戦、第2次世界大戦と、大きな戦争の戦場となってしまったヨーロッパ。敗戦国のドイツは東西冷戦のために2つに分割され、連合国の勝者となったはずのイギリス、フランス、オランダ、ベルギーなどは国土が荒廃し経済は疲弊してしまい、旧ソ連の影響を受けざるを得なかった東ヨーロッパ諸国を除くヨーロッパの各国は、戦後復興にアメリカの力を借りつつも、「ヨーロッパは団結しなくてはならない」という考えを持つ指導者達によって、徐々に「統一大欧州」への道程を歩んでいくことになりました。

 こうした考えの雛型的存在であったベネルクス3国(ベルギー・ルクセンブルグ・オランダ)と、将来の統一欧州の中心的存在たらんとしていたフランス、経済的にまたも見事に蘇った西ドイツあたりが中心となり、EEC(ヨーロッパ経済共同体)は、やがてEC(ヨーロッパ共同体)となり、そして統一通貨「ユーロ」を実現して、とうとうEU(ヨーロッパ連合)成立というところまで漕ぎつけたのです。
 この間、旧ソ連が崩壊して、東西両ドイツは統一され、旧ソ連の影響下にあった東欧諸国は次々とEC、現在のEUの方に仲間入りして、EUは本来目指すべき「統一大欧州」の姿に近づいてきました。
 ま、そうは言っても、英国は相変わらずユーロではなくてポンドを頑固に使っておりますし、永世中立が国是のスイスはEUには加盟しておりませんから、完全な統一欧州というには、まだまだでしょう。
 でも、これだけの数の国が、お互いの通貨を共通にして、貿易のために関税の障壁を無くし、色々な制度も揃えて、いずれは欧州は、国境線のない統一された地域になりましょう、というこれまでの歩みは、やはり壮大な実験と、世界中が注目していたに違いありません。
 しかし、その中心たらんとして、言わば旗振り役であったお膝元のフランスで、EUの憲法が否決されたとあっては、これはやはり道程は険しい、と言うべきなのでありましょう。

 以前に小職は、「将来、世界統一政府というものができた時には、その歌にはベートーヴェンの第九交響曲『歓喜に寄す』が相応しいのではないか」などと書いたことがあるのですが、ある程度人種的にも宗教的にも近くて、経済的な格差はあるにせよ、まぁ何とかなるのではないのか?と思われたEUにしてからが、これだけ大変なのであると、人種も文化も宗教も様々な世界中が一つにまとまるには、少なくとも次の世紀まで待たないとダメかなぁ、と思われますね。残念ながら。

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コメント

チェスさん、こんばんは。

「統一大欧州」・・・宗教的な見方をすると大変なことですね。
前に「聖書を読めば世界がわかる」という本を読んだ時に
テロもすべて米国vsヨーロッパという図式の基に行われているような気がします。

統一通貨「ユーロ」の実現の為に米国を叩いておこう・・
その影にはユダヤ大富豪がちらちらと・・
世界がひとつにまとまるなんて無理なのかな。

投稿: 水夢イルカ | 2005.06.01 00:03

 水夢イルカ様、少々カタい傾向の記事でコメントを頂戴し、ありがとうございます。

 フランス革命以前・・だから相当に前になりますが、あちらもこちらも王様の国であったころのヨーロッパは、王室同士であちこち結婚していますよね。所謂政略結婚というものだと思いますが・・日本でも戦国時代に使われたテですが・・上の方だけで親戚同士になっても、それで国同士が親戚になるわけではないから、そう簡単にはいかないんですねぇ。

投稿: チェス | 2005.06.01 07:40

違う文化を持ってきた人間たちが、まとまるのは、そう容易なことではありませんね。それまで生きてきた歴史をどう理解し、それをどう解釈していくかが問題となりますね。

旧ユーゴ地区、そしてパレスチナなど、有効よりも禍根がどうしても先に意識されてしまう。それが、和平への道を閉ざしている感じがします。特に、パレスチナ問題はイスラエルとタラブ諸国の間での、歴史が少し過大解釈され、より大きな亀裂を生んでいるような気もします。このままでは、永遠に和解は来ないのではとさえ、感じるところです。

人間は、どうしても小さな集団をつくりたがります。そのなかでの愛情やぬくもりといったところまでではいいのですが、それが他者を排除しようとする気持ちが生まれてくると、大きな集団にはなれなくなりますね。そういう気持ちの救いが宗教かもしれません。
日本においても、市町村合併でのトラブルなど、ささいなことで、せっかくまとまりかけたものがご破算になったり例もありますね。

テロについては、米国vsヨーロッパというものではなく、巨大になりすぎたアメリカの影響かと思われます。そういうものに対してのレジスタンスが、議論ではなく、暴力へと進んでいく。それをまた巨大な力で抑圧していく。そのあたりの図式をわれわれ日本やアジア諸国も考えていかないと、テロはなくならないような気もします。

投稿: AA | 2005.06.01 12:37

ごめんなさい。

よく字を間違える私ですが、上のコメント。

有効×→友好
タラブ×→アラブ

です。
宿題のレポートも、誤字・脱字だらけ。
もう少し慎重にやらないといけませんね。
失礼しました。

投稿: AA | 2005.06.01 12:48

 こんばんは、チェスです。
 AA様も、カタい傾向の内容の記事なのにもかかわらずコメントを下さり、ありがとうございます。

 歴史、世界史ですけれど、結構好きなので、「世界帝国」といったテーマを扱った良書があればご紹介願いたいと思うのですが。
 過去、ローマ帝国とか、ユーラシア大陸の大半を押さえたモンゴルの大帝国、やがてヨーロッパの大航海時代がやってきてポルトガル、スペインからイギリスへと覇権が移り、世界の海を支配するパックス・ブリタニカの時代が到来し、で、東西冷戦時代を経て現在は「パックス・アメリカーナ」の時代、ということなのでしょうかね。でも大きくなりすぎた世界帝国というものの寿命は意外に短いですよね。

投稿: チェス | 2005.06.01 18:29

こんばんは。遅れて書き込みさせていただきます。

20世紀後半は東西冷戦などもあって、イデオロギーが世界の勢力図を分けるキーワードとなっていましたが、ベルリンの壁がこわれてソビエトが崩壊した頃から様子が変わってまいりました。
民族主義の台頭です。各民族とも宗教を持ちますから、宗教的対立の側面も見え隠れします。

EU統合はこの流れの中でどのような展開をみせるのであろうか、と興味をもってみておりました。経済的には1つの経済圏をつくることができても、政治や文化、民族的な違いは超えられない部分は残ると思います。
いずれにせよEUの試みは大変先進的です。わが国が位置する東アジアでは同様のことはとても考えられない状況にあります。

逆に、一国で様々な民族を抱える国には、民族主義の台頭による潜在的リスクを持っているともいえると思います。ロシアはそれで既に苦しんでいますし、中国にも将来同様の事態に直面する可能性があると思います。

投稿: とらいでんと | 2005.06.11 02:08

 こんにちは、とらいでんと様、チェスです。

 そうなんですよね。

 アメリカ合衆国は、よく「人種の坩堝」と言われますが、カナダは「人種の寄木細工」なのだそうです。その中でも一番うまく合わないのが、メインを成しているアングロサクソン(英国系)とラテン(フランス系)ですね。ケベック州は確かフランス系住民の比率が高いとか。
 表向き、豊かなこうした国でさえ、内側では人種問題を抱えているのですから、ロシアや中国といった国の持つ問題は、かなり深刻ですね。
 やはり欧州統合というのは厳しい道程ということでしょうかね。

投稿: チェス | 2005.06.11 13:40

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