ASTRO-EII
こんばんは、チェスです。
いよいよ、ASTRO-EIIの打ち上げ日程が決まってまいりました。
詳しくは、宇宙航空研究開発機構-JAXAのWebサイトの「新着情報」に宇宙開発委員会への報告事項としてpdfファイルが掲載されておりますので、これをご覧下さい。
この衛星は、記号のお尻にII(本当はローマ数字の2ですが、機種依存文字と思われるので使っていません)と入っていることから、1度打ち上げに失敗した衛星のリターンマッチなのです。そういう意味では、今年の2月に打ち上げに成功した「ひまわり6号」と同じ立場です。
ひまわり6号の方は、H2ロケットの打ち上げ失敗によるもので、改良版のH2Aロケットも、補助ロケットが本体からの分離に失敗したというミスのために1年余り打ち上げが止まり、やっと再開された打ち上げで成功した、というものです。
ASTRO-EIIの方は、M-Vロケットという、ペンシルロケットからスタートした戦後日本の自主開発による固体ロケットの集大成と言われるロケットであり、こちらは東大宇宙研~文部省宇宙科学研究所=略称ISASの方の主力ロケットとして、数々の科学衛星や宇宙探査機を打ち上げてきました。
ところが、このM-Vロケットも、ASTRO-E衛星打ち上げの際、一応打ち上げには成功したものの、噴射ノズルの破損が原因とされるトラブルで、必要な推力が得られなかったために、予定の軌道に乗せるのは不可能ということになり、安全のために自爆させてしまったという残念な事故があったのです。
ASTRO-Eは、X線天文衛星です。実は、このX線天文学という分野では、日本は世界のトップレベルにあり、すぐれた発見も数多くなされてきました。
日本の打ち上げたX線天文衛星「あすか」も多いに成果を上げました。
しかし、こうした宇宙科学の分野の進歩は日進月歩です。あすか衛星の打ち上げの後、欧州宇宙機関のニュートン、アメリカのチャンドラという新鋭のX線天文衛星がそれぞれ宙に上がり、日本でもあすか衛星の後継機として、ASTRO-Eが多いに期待されたのです。
実は小職も、この衛星の名前が一般から募集されると聞き、ISASに考えた名前を応募致しました。
それだけに、打ち上げに失敗した、とわかったときには、残念無念で非常に悔しかったのを覚えています。その後ISASから「皆さんのご期待に応えられずに申し訳ありません。」との書状が来ました。(ホントです)
しかし、M-Vロケットの方も、問題が発生したノズルの改良が進み、小惑星探査機「はやぶさ」を無事打ち上げました。
そして世界中のX線天文学者から、「是非ASTRO-Eのリターンマッチを実現してくれ」という激励に応えて、組織がJAXAと変わり、その一部門=宇宙科学研究本部=にはなりましたが、とうとう次のX線天文衛星が打ち上げられるチャンスが来たのです。
X線による観測は、地上では出来ません。どうしても望遠鏡を宇宙へ持っていく必要があるのです。そして、X線による観測は、銀河の生成とか、ブラックホールの構造だとか、それこそ天文学の最先端を押し広げてくれるにちがいありません。
これはもう、どうでもリターンマッチのASTRO-EIIは、無事打ち上げていただかないといけません。小職も、ASTRO-EIIを無事に宙に上げるためにはあらゆる神様にお願いしようと思います。
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