見方を変える
こんばんは、チェスです。
例の運輸多目的衛星 新1号~愛称「ひまわり6号」~からの画像が、気象庁のホームページで公開されておりました。
以前からそうなのですが、気象衛星の観測用カメラは、我々が通常見ている「可視域」の波長の他に、何種類かのIR-赤外線領域の撮影が可能になっています。今回のひまわり6号は、更にこの赤外線領域のチャンネルが1つ増えたということで、より幅広いデータの取得が可能になったと言えましょう。
気象庁のホームページには、いつも見なれた可視域の画像データの他に、赤外線のチャンネルで撮影されている画像データもありますから、一度ご覧いただくと面白いです。地球大気圏の全く異なる表情が映っていますよ。
可視域の他に、どうしてわざわざ赤外線領域の観測を行うのでしょうか。
気象衛星が観測する必要があるのは、大気の様子です。大気の様子ではあまりに漠然としていますが、要するに雲の模様を観測しているわけです。しかし、可視域の観測で見える雲、これは、地上から我々が見ている空の雲を、地球の外から見ているのと同じになりますが、我々が地上から雲を見る場合、何層にも重なっている雲を全て見ることは出来ないのと同じ様に、地球の外においても、可視域を使って観測している限りにおいては、全ての雲を観測するわけにはいきません。地球の外からですと、最も外側の雲によって、下層にある雲が遮られてしまって、見る事ができないからです。
雲の正体は、水蒸気です。水の分子が大きく成長して、雲を作っているのです。ならば、水蒸気を透過してしまう波長を使って観測すれば、内側の~地球の外から見ればですが~雲も観測することができます。
赤外線というのは、可視光線より、更に波長が長い電磁波の領域です。そして、この赤外線は、水蒸気を透過してくれるので、大いに好都合です。いくつかの波長の赤外線を使うことで、地球大気の水蒸気、つまり雲の様子を、立体的に把握することが出来るようになります。
可視光線を基準としてみると、逆の波長が短い方はUV-紫外線領域と言いますが、更に短い波長の電磁波を使って、我々は医療分野で大きな恩恵を受けています。皆さんご存知のレントゲン写真、これは紫外線より更に波長の短い、X線という電磁波を使っています。X線は、我々の身体を透過してしまうため、この電磁波を使って撮影すれば身体の内部の様子がわかることに気が付いたのが、レントゲンという人の大発明なんですな。
我々は、いつも可視光線を使ってものを見ています。しかし、赤外線や紫外線、X線やγ線を使うと、全く異なる世界が見えてくる筈です。
それと同じ様に、いつも見慣れている人物や風景を、変わった見方をしてみると、思わぬ発見があるかもしれません。
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