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「ど」

 こんばんは、チェスです。

 接頭語として、「ど」というのがありますよね。ど近眼、ど阿呆、どえらい、ど根性、といった用法がありますが、これらはどうも上方、すなわち京、大阪方面を起源とする言葉のようです。ホラ、大阪を舞台にしたテレビドラマなどで、役者さんが
「この、ドアホが!」
などと怒鳴っているじゃないですか。
 「ど」がくっつくことで、ものすごい、というか、ともかく後にくっつく言葉を強調した意味になります。

 これとは別の「ど」で、「どまんなか」「どぎつい」という用法のどがあります。こちらは「まさにそのとおり」という意味の言葉を成しているのですが、まあ感覚的には似たものですね。

 何しろ、名詞や形容詞の頭につく「ど」は、強調の意味の接頭語である、という点、はっきりしていると思われます。

 ところで、我々世代(今や40歳代)は、アニメといえば「宇宙戦艦ヤマト」でしたが、宇宙に飛ばなかった戦艦大和は、「超弩級戦艦」などと呼ばれたことがありました。カンの良い方は、もうおわかりだと思いますが、この「超弩級」という言葉の「弩」は、上記接頭語の「ど阿呆」の「ど」からきたのではないのかな、と思ったのであります。
 しかし、そうであるならば、超ど級、と書くはずですよね。意味はまぁ、超、つまり超えるものであって、ものすごいものを超えるもの、最上級の凄いものの表現ってなところかな、と思った次第です。
 調べてみると、この「弩」というのは「石弓」のことだそうです。日本の弓は、弦に直接矢をつがえて打ちますが、中国のそれは、巨大なもので、引金ともいうべき発射装置がついており、それを解除すると矢が飛び出す仕掛けがあって、威力も射程距離も日本の弓の比ではないと思われます。
 してみると、超弩級の弩は、接頭語の「ど」ではなくて、石弓の様に大きなモノ、という意味であり、超がつくから、もの凄く大きなもの、という意味なのであろう、ということになります。ま、確かに戦艦大和は、当時の日本海軍の戦闘艦の中でも最も大きなフネだっただけでなく、世界を見渡してもこれに匹敵する戦艦は、そうはなかったですから、「超弩級」という表現は、あながち大袈裟とはいえないでしょう。

 と、一人納得していたら、これは大間違いであることが判明致しました。

 「超弩級戦艦」という風に使う場合には、本当は「超ド級戦艦」と表記するのが正しいらしいのです。
 20世紀になって、間も無い頃、大英帝国で1隻の戦艦が竣工致しました。その名前を「ドレッドノート」(何物をも恐れない、という意味)と言います。
 この戦艦は、それまでの戦艦とは異なる設計思想で作られたフネで、中口径の砲を多数搭載していたそれまでの戦艦に代わって、大口径の大砲を重点的に搭載し、更に当時としては破格の速度を出す事ができる性能を持っていました。
 これによって、それまでの戦艦は一気に時代遅れとなってしまい、世界の海軍は、このフネを目標にして、更なる戦艦の建艦競争へと入っていきました。
 つまり、戦艦にとっての一つのスタンダードを示したフネだったのですね。このため、ドレッドノートをお手本にした戦艦を、「ド級戦艦」という言い方が出来て、更にこれを上回る強力な戦艦が生まれると「超ド級戦艦」と言われるようになった、とのことです。
 ということは、日本語の「超弩級」の「弩」の字は、カタカナの「ド」と書くべきところを、当て字しただけ、ということになります。

 ただ、戦艦大和を「超弩級戦艦」と表現している場合には、大和を「超ド級」と呼ぶには時代的には後過ぎて少し無理があるのです。(本来の超ド級戦艦はもう少し前の世代)ですから、意味合いとしては、「物凄く大きく強力な戦艦」という意味で書いているのであって、だから「超ド級」ではなくても、あながち間違いとも言えないかな、と思います。

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