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的を得る

 こんばんは、チェスです。

 「刑事コロンボ」のノヴェライズ版「血文字の罠」を読んでいて(後書きで気がついたのですが、この原作はテレビドラマ化されていないということ)うーん、またやっている、と残念に思いました。
 物語も、8割方進行して、後はコロンボが犯人を追い詰めるだけ、という段階に近づいていたのですが、この一節を読んで、少々がっかりです。

 『的を得た辛口の批評で名高い人物だ。』

 日本テレビの福澤アナが、面白おかしく騒いでいるので、ご存知の方も多いと思いますが、「的を得た」あるいは「的を得る」は誤用で、正しくは「的を射た」あるいは「的を射る」です。「的を得る」という言葉はありませんし、国語辞典にも載っていません。
 「い」と「え」は日本語ではどちらも母音ですが、比較的近い音なので、誰かが間違って聞き捉えて「的を得る」という言葉を作ってしまったのでしょう。で、その言葉は誤用なのですが、特に間違いという表現にも聞こえないので、広く一般化してしまったものと思います。

 「的を射る」は、文字通り、遠くの標的を見事に射抜いた、ということから、転じて、急所、要点を的確に捉えたこと、という意味で使用されます。先ほどのコロンボの小説でも、意味としてはやはり「的を射た辛口の批評」が正しいと思います。
 しかし、日本語の専門家と言うべき翻訳小説家であっても、間違ってしまうのですから、普通の人はこの手の間違いをたくさんやらかしてしまいます。
 日本語の専門家といえば、アナウンサーは話し言葉、つまり口語のプロと言って良いと思いますが、彼らにしても、時々ミスをしでかします。
 「今日のチェス選手、いいところがありませんが、ここで一発打てば逆転、汚名挽回といきたいところでしょう。」
 プロ野球の実況中継を聞いていると、たまに出てきます。しかし、「汚名」は挽回することはできません。挽回しなくてはいけないのは「名誉」です。ですからここでの正しい用法は「名誉挽回」です。「汚名」を使いたければ「返上」と続けるべきで「汚名返上といきたい」と言うのがいいでしょう。

 もっとも、人様の揚げ足取りをしてばかりで、ではオマエはどうなの?と聞かれると、結構ヤバイのです。大事な相手と電話で話しをしていて、通話が切れた後で、「ハテ、この言葉にこういう意味はあったかな」と慌てて引き出しから「電子辞書」を出してポチポチと入力して調べる始末です。

 でもまぁ、言葉というのは時代によって変化していくものです。
 「的を得る」という言葉も、これのほうが一般化してしまって、正しい用法になるかもしれません。なんとなく意味としては「本来能力のある人が、ようやく活躍の場を見つけた様子」なんていう意味で使ってはどうでしょうね。

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