野菜炒め
こんばんは、チェスです。
6年前の夏、チェスの母親に脳腫瘍が見つかり、入院、手術となりました。幸い腫瘍は良性であり、腫瘍が大きかったので全摘するのも大変な手術でしたが、脳神経外科の医師の見事な手術のおかげで、母親は全快、退院しました。
入院は約2ヵ月に及びましたが、その間、夕ご飯はチェスとチェス弟が概ね交代で作って(又は何か買ってきて)対応しておりました。父親はその頃、通勤に非常に時間のかかる仕事をしていたので、当番をさせるのは無理でした。
ある日のこと、チェス弟が、「今日は野菜炒めを作る」と言って、野菜各種をザクザクと切り始めました。
まぁ、野菜炒めなら、野菜さえ切ってしまえば、後はそう時間はかからないし、第一チェスは野菜炒めが好きですので、彼のお手並み拝見、と思ってテレビなぞを見ておりました。
やがて、準備が完了したのか、フライパンがガスレンジに載り、油を引いて野菜を炒める音が聞こえてきました。
どうやら、もうちょっとしたら、今日も無事に晩御飯を食べられそうだ、と思いましたが、それは甘かったのです。
チェス弟は、素人に有りがちな「目分量のミス」をしたらしく、相当の量の野菜炒めを作っていました。
大きなお皿に2枚分、山盛りになって湯気を上げていました。
オヤジはまだ帰ってきそうもないから、食べようか、と炊き上がったご飯をよそい、チェス弟作の野菜炒めに箸をつけた途端、2人同時に、
「!」
箸が止まりました。物凄く塩からくて、物凄く胡椒が効いているのです。
「これ、味付けしたときに、味見したのか?」
「いや」
「うーん。ちょっと塩辛いな。」
ちょっと、とは言いましたが、それは明らかに控えめに過ぎる表現でありました。
まず、問題の料理の作者がギブアップしました。
「食べるのを止めよう!」
小職は、しかし、せっかく奴が作ったのだから、と思って、無理をして食べましたが、やはり強烈に塩辛いのです。
量が多いために、目の前の野菜炒めは全く減りません。
チェス弟はついに、
「これ食ったら、マジで死ぬぞ。」
と言って、大量の野菜炒めを処分することになりました。
しかし、これがメインのおかずですから、大量の廃棄物発生に伴って、おかずが無くなってしまいました。
その後、冷蔵庫の中身をあらためて、おかずになりそうなものを何とか並べて、夕食を終えましたが、その後に帰宅したチェス父親の夕食が悲惨になったのは、言うまでもありません。
チェス弟は、母親の料理に何かと文句の多い男ですが、野菜炒めに関してだけは、以後全く文句を言わなくなりました。
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